什器はどのように仕入れればよいのか?

什器を仕入れるにはどんな方法があるでしょうか? そのコストとパフォーマンスはどうでしょうか? そのポイントをご説明します!

什器の調達方法

回転什器,ネット什器

新たに店舗を作るとして店舗デザイナーにデザインを依頼したとして、最初のうちはざっくりとしたイメージが合うかどうかが問題となりますが、次に大きな関心となるのはやはりコストでしょう。だれだってコストは安く押さえたいです。そして、人間が動く部分のコストはある程度から先は削りようがない以上、どうしても什器備品のコストに着目してしまいます。
また、新規開店時ではなくて自分たちで行う部分的なリニューアルや、季節ごとのディスプレイといったこともあるでしょう。その際も什器には目が行きます。
しかし、ただ単にコストを削ればよいというものではないでしょう。コストを削りすぎてチープで残念な店舗になってしまったのでは元も子もありません。
ここは永遠の悩みどころではありますが、今後のために什器の調達方法について俯瞰的に見ていくことにしましょう。
什器の調達方法には5種類あります。自由度の高い順に並べて、

  • オーダーメイド
  • 新品
  • 中古
  • レンタル
  • 居抜き

となります。

オーダーメイド

もっとも自由度の高い方法です。店舗の形状は店それぞれですし、見せ方にこだわるほど細部は重要になります。格好いい陳列をしても細部がいかにもありものを組み合わせていて応急処置をしているだけという舞台裏が見えてしまっては、なまじプレミアム感を出しているだけに反動も大きくなってしまいます。
こういうときは高品質と多種多様さが求められることになります。この場合は図面制作から必要になりますし、什器は重いものを陳列したり、角がぶつかったりすることも考えられますので、安全性も求められます。既製品ならばこういった者は設計段階ですでに考慮されているものだと言えますが、オーダーメイドだと見た目だけにこだわってしまって安全性がないがしろになってしまうとか、価格だけを見て海外に短納期で下請けに出しそういった部分がお座なりになってしまうということも考えられます。
天井近くからスチールが客の上に落ちてくるようなことがあれば大惨事です。オーダーメイドの場合はデザイン性や価格だけではなく、安全性や実績と言ったところまで目配りする必要があります。

新品

什器で検索するとたくさん出てきますし、資料請求をすると素人目には区別のつかないような細かい違いのあるものが並べられたカタログが送られてきます。 名前を見てもなにがなんだかよく分からないのは、理由は上述した通りです。例えばこれが家具ならば種類が多いと言っても限度があります。日本人の生活パターンや家の作りには、店舗と比べるとそれほど大きな差があるわけではないですから。例えば皆さんもよそのお宅に行ったときに、そこの生活スタイルや家具が予想外に高級だとかスタイリッシュだとかその逆だったという経験はあるでしょうけど、全く想像もつかない家具で予想外の生活スタイルをしていたということはなかったと思います。しかし、店舗什器ではそれが起こります。アパレルの店舗に詳しい人でも飲食店の什器になると、什器の名前を聞いてもわからないなどということが起こりえます。
ですので、新品は多品種が特徴なのだと言えます。そして多品種であるがゆえに一点あたりの単価が高い。高いものを選ぶのに選択肢がありすぎて細かすぎてどうにもならない、というのが新品の特徴でもあります。

中古

什器の中古も検索すればたくさん出てきます。さらには取りに来てくれれば無料で譲るというのもたくさんあるかと思います。この理由は簡単で、店舗というのは開店や閉店はつきものですし、時代の変化に合わせてリニューアルすることもあれば、シーズンごとに変えたりします。ここは家具との大きな違いです。育ち盛りの小さなお子様のいるご家庭をのぞいては引っ越しをしない限り家具はそれほど頻繁には変えないと思います。おばあちゃんの家にいったら昭和の頃からある特に高級品というわけでもない家具がそのまま置いてある・・・というのはよくある話です。しかしある程度売り上げている店舗でそれは中々ない話だと思います。
内装デザイナーに依頼するときに中古を使ってほしいとはいいにくいとは思いますが、自分で内装を行う場合や、全店舗ではなく一部分のディスプレイを変更する場合は、十分有り得る選択肢だと思います。しかし、店舗デザインは店舗全体のコンセプトやイメージに従うものであり、中古の什器がそのコンセプトやイメージにあっていれば問題はないのですが、そうでない場合は店舗内に異物感が出てしまいます。またVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)において商品の見せ方におけるパターンは大変重要な要素であり、同じ役割の什器で一つだけ色やデザインが違うという場合は、それに具体的な意味が生じてきます。例えばアクセサリを展示する回転什器が3器ならんでいて、そのうち1つがちょっと大きくちょっと色も違うという場合は、例えばその1つは売出し中の商品だったり、他の2つと値段が違うといった意味を持っているものと見ている客は期待します。そのはずなのに同じ商品で同じ値段という場合は、客はクレームこそつけないかもしれませんが、「探しにくい店」「選びにくい店」「なんとなく違和感のある店」というように感じてしまいます。

レンタル

高価な什器であったり、シーズンやキャンペーンなどで短期間だけ用いる場合は、レンタルという方法も考えられます。 レンタル業者にも特徴があります。シンプルからアンティークまで幅広い品ぞろえ、マネキン専門、オリジナル什器、高級什器特化・・・などです。店舗にどのような什器が必要かを考えて検討してみてください。
とくにVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)において仮説と検証のサイクルは大切ですので、そのためにレンタル什器を使うというのはスマートなソリューションとなります。例えば、今まで死に筋だったコールドスポットを高級什器でプレミアム感を出したスポットに変えることはできないか、といったものです。これはできるとかできないとか議論するものではなく、実際にやってみて効果を測定してみるべきものでしょう。そういったときにレンタルは役に立ちます。

居抜き

これは飲食店で多いです。一般的に飲食店の内装費は坪単価40万円と言われていますので、これを省略することができれば初期費用が大きく安くなります。しかしその問題点も明らかで、一つは什器が経年劣化していること。せっかくの新規開店なのになんだか古ぼけているのでは悲しいです。そして、そもそも前の同業種の店舗が閉店したということはそこに何らかのネガティブな理由があるということです。
居抜き物件そのものの善悪はもっと大きな枠組みから見なければいけないので、ここでは一般論を述べるにとどめておき、什器についてだけ説明しようと思います。
飲食店なら調理場であったり、アパレルならばバックヤードといったような、ディスプレイの部分ではないところの什器の善悪はケースバイケースなのでなんとも言えないですが、ディスプレイに関わる部分は、一部分を取り替えることでメリハリを付けることができます。ディスプレイに関する理論はVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)で統一されていますので、以前の店長も、同じような理論に従って店舗を作ったはずです。ならばそれを読み解くこともできるはずなので、読み解いた上で、自分なりにどのように改良するか、というようにはできます。その上で、大切なところは新品やオーダーメイドの什器を使ってはっきりとしたビジュアルを見せ、誰がやっても同じところはあえてそのままにしておきコストを抑える、ということは考えられます。



以上、什器の調達方法について説明してみました。
新規開店時も改装時も素晴らしいデザイナーに丸投げしてコストはいくらかかっても構わないというのならば何でもできるのでしょうけれども、大きい店は大きい店なりに、小さい店は小さい店なりに、そんな青天井の予算の組める店はないでしょう。誰だってどんな店にだって制約条件はあるので、その中で色々工夫してみてください。安ければよい、高ければよい、というものではありませんので。ただ、安全ならばよいということに関しては逆はないです。ですので什器は、とくに回転什器のように動きのあるものについては、安全という観点から見てみることも重要であると言えます。